– 障害認定日から1年以内に申請する場合 –
障害認定日より1年以内に請求する場合をいいます。
この場合、障害認定日より3ヶ月以内の状態で作成された診断書が必要です。
障害認定日に障害状態が認められると、障害認定日の翌月分から年金が支給されます。
必要な診断書
障害認定日から3ヶ月以内の症状で作成された診断書1枚
支給開始月
障害認定月の翌月
障害年金を請求しようとした際に、まず問題になるのが障害年金を受給するための条件を満たしているかどうかです。
障害年金を受給するための3つの条件のうち1つでも欠けていると年金は受給できません。
その障害の原因となった病気・ケガについての初診日(初めて医師の診察を受けた日)において国民年金、または厚生年金の被保険者であること。
又は、初診日に60歳以上65歳未満で日本国内に居住していたこと。
初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日が障害認定日として定められています。
その日に一定の基準以上の状態であることが条件です。
障害年金は一定以上保険料を納めていないと受け取れません。
初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者期間の3分の1以上の滞納がないこと。
ただし、3分の1以上の滞納があっても初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料の滞納がなければ問題ありません。
初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療(「診察、検査、処置、投薬、手術、その他の治療等」)を受けた日をいいます。
この初診日を確定させることが障害年金請求の最重要要件の1つとなります。
【初診日とされる例】
例えば、平成20年頃にうつ病を発症し、A病院にかかったが、その後B病院、C病院と転院を繰り返している様な場合の初診日は、最初にかかったA病院を初めて受診した日となります。
初診日が5年以上前にあると初診日の証明がとれないことも多々あります。
カルテは最終的に記載した時点から保存期間が法律で5年と定められていますが、病院側としては「カルテがない」と言えば面倒を避けられる為、カルテがないとする病院も珍しくありません。
継続的に診察を受けている様な場合は、5年を経過してもカルテの保存がある場合がほとんどです。
初診日の証明をしてもらう受診状況等証明書や診断書は、医師の記憶によって書かれたものではなく、必ずカルテをもとに記載していただかなければなりません。医師の記憶は証明にはなりません。
当時のレシート、診察券、お薬手帳などを探してください。また、カルテが残っていなくても電子カルテの普及によりデータが残っている場合があります。証拠があれば医療機関の証明文書である「受診状況等証明書」が取得できなくても、初診日として認められる場合があります。
診断書を用意できないということは、認定日請求はできないという事です。根気よく、カルテが残っていないかどうかを医療機関に確認してください。
障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日のことで、
と定められています。
ただし、以下の場合に限り、特例として1年6ヶ月待つことなく請求手続きができます。
ケース | 認定日 |
---|---|
人工透析療法を行っている場合 | 透析を受けはじめてから3ヶ月を経過した日 |
人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合 | 挿入置換した日 |
心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)または人工弁の装着をした場合 | 装着した日 |
人工肛門または、尿路変更術を施術した場合 | 手術を施した日から6ヶ月経過した日 |
切断または離断による肢体の障害 | 原則として切断または離断をした日 |
喉頭全摘出の場合 | 全摘出した日 |
在宅酸素療法を行っている場合 | 在宅酸素療法を開始した日 |
この他にも、1年6ヶ月を待たずに請求できることがあります。
ただし、精神疾患(統合失調症、躁鬱病、うつ病など)の場合は、原則通り初診日から1年6ヶ月を経過した後で請求することになります。
【病例一部】
うつ病、統合失調症、双極性感情障害(躁うつ病)、てんかん、パニック障害、心不全、心筋梗塞、人工関節、人工肛門、心臓機能障害完全房室ブロック(ペースメーカー)、 がん、右半身麻痺、脳出血、脳梗塞、糖尿病、パーキソン病、などの心疾患、など
保険料の納付要件には下記2つの要件があります。
ただし、厚生年金や共済年金に加入していない20歳前の期間に初診日がある場合、保険料の納付要件は問われません。
「初診日の属する月の前々月迄の国民年金加入期間において、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と免除月数の合算月数が2/3以上有ること
初診日の前日において、初診日の属する月の前々月迄の過去1年間に年金保険料滞納月が無いこと
上記の2つの要件のいずれかを満たした上で、厚生労働省が定めている「障害認定基準」に該当する障害の状態にあれば、障害年金が受給できます。
障害認定基準は、傷病や障害の種類ごとに細かく定められていますので、一概にはいえませんが、機能の障害や長期にわたる療養が必要なため、仕事や日常生活に困難がある場合に、対象となる可能性があります。
障害年金を請求しようとした場合にまず、問題になるのが書類作成です。
特にどのような書類が必要なのかがわかりづらいため、しっかりと必要書類を把握する必要があります。
障害年金の申請に必要な書類は主に診断書、病歴・就労状況等申立書、受診状況等証明書、障害年金裁定請求書の4つです。
障害年金における診断書は基本的に請求先の窓口でもらい、診療を受けた医療機関に記載を依頼します。
また、診断書の様式は傷病名ごとではなく、障害の種類によって8種類に分けられます。
基本的には一つの傷病について上記の診断書のうちいずれか一つを使用することになりますが、一つの傷病で二つ以上の障害がある場合は、それぞれの障害に応じた診断書が必要になります。
例えば、脳梗塞などの脳血管障害により、肢体の障害に加えて器質的な精神の障害が併存する場合などは、肢体の障害用(様式120号の3)と、精神の障害用(様式120号の4)の二つの診断書が必要になります。
病歴・就労状況等申立書は、請求者が発病から初診日までの経過、現在までの受診状況および就労状況等について記載する書類です。
こちらの書類は審査において病状の経過や日常生活の状況を把握するための重要な資料となりますので、確実な記載が必要です。
受診状況等証明書は、診断書作成医療機関と初診時の医療機関が異なっている場合に、初診時の医療機関で取得していただく証明書類です。「初診日証明」とも言われます。
請求者が初診日から継続して同一の医療機関で受診されている場合は、提出された診断書によって初診日における医師の証明が確認できますので必要ありません。
・初診日が10年前の場合には?
初診日が10年も前にある場合、病院にカルテが残っていないことが多く受診状況等証明書を取れないというケースです。
1件目の病院については「受診状況等証明書が添付できない理由書」を作成し、2件目の病院に受診状況等証明書を依頼します。2件目の病院にもカルテが残っていないときは、1件目と同様「受診状況等証明書が添付できない理由書」を作成し、3件目の病院に受診状況等証明書を依頼します。
これを「受診状況等証明書」を取得できるまで繰り返す必要があります。
障害年金裁定請求書は、請求者の氏名や住所、配偶者や子などのデータ、その他請求にあたっての基本事項を記入する書類で、障害年金の請求は、この障害年金裁定請求書に診断書などの必要な書類を添付して行うことになります。
障害年金の裁定請求書が提出されると、障害年金を受給するための要件である「加入要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」を満たしているか否かを行政が確認します。
具体的な流れとしては、年金事務所(場合によっては市区町村の国民年金課)が内容を確認し、その後、年金を受給するために必要な資格があるかどうかを判断し、また障害の状態を認定医が判断します。
障害の認定は、疾病ごとではなく障害ごとに障害認定の基準にあてはめて、その等級を決定することになっています。
なお、審査は診断書などの資料を見て客観的に判断します。
障害年金を受給できる権利は、初診日より1年6ヶ月後の障害認定日に発生します。
しかし、こういった社会保障制度はよく知られていないということもあり、障害認定日時点から請求するという方は極めて少ないのではないでしょうか。
そういった方々の為に、本来ならば受給できていたであろう障害年金を、5年まで遡って請求することができるというのが遡及請求になります。
また障害認定時は障害等級に不該当であっても、その後65歳までに障害に該当した場合にも請求することができます。
障害認定日より1年以内に請求する場合をいいます。
この場合、障害認定日より3ヶ月以内の状態で作成された診断書が必要です。
障害認定日に障害状態が認められると、障害認定日の翌月分から年金が支給されます。
障害認定日から3ヶ月以内の症状で作成された診断書1枚
障害認定月の翌月
障害認定日より1年以上経って請求する場合をいいます。
この場合は、障害認定日より3ヶ月以内の状態で作成された診断書と、請求前3ヶ月以内の状態で作成された診断書が必要となります。
障害認定日に障害状態が認められると、障害認定日にさかのぼって受給権が発生し、障害認定日の翌月分からの年金が初回にまとめて支給されます。
ただし、時効の関係で、遡って受け取れるのは最大5年間までです。
障害認定日から3ヶ月以内の症状で作成されたものと、申請時の3ヶ月以内に作成された診断書、合計2枚の診断書
障害認定月の翌月
障害認定日には障害の程度が軽くて等級に該当せず、その後に症状の悪化により該当した場合の請求です。
この場合は、請求前3ヶ月以内の状態で作成された診断書が必要となります。
障害状態が認められると、請求した月の翌月分から年金が支給されます。
事後重症制度による障害年金は、請求したときに初めて受給権が発生し、遡って受給することはできません。
また、老齢年金の繰上げ請求後や、65歳の誕生日の前々日を過ぎると、この制度による請求ができませんので注意が必要です。
申請時の3ヶ月以内の症状で作成された診断書1枚
※請求も65歳に達する日の前々日までに行わなければいけません
請求月の翌月
障害年金の請求では、「初診日」に年金制度に加入していたのか、またどの年金制度に加入中であったか、を注意しなければなりません。
初診日に年金制度の未加入であると、請求そのものができないからです。
さらに初診日に加入していた年金の種類により、受給できる障害年金の種類も変わってくることがあります。
このように条件ひとつで、受給できる障害年金の種類や金額が変わってきます。
初診日が国民年金加入中にあった場合は、障害等級が1級または2級に該当しないと受給できません。
それに対して厚生年金加入中であった場合は、1級、2級、3級に該当すれば受給できます。
また障害手当金に該当する場合もあります。国民年金加入中よりも受給できる可能性が広がります。
厚生年金加入中が有利
「本来請求」、「遡及請求」の場合、障害認定日に障害状態が認められると、障害認定日の翌月分から年金が支給されます。ただし、時効の関係で、遡って受け取れるのは最大5年間までです。
それに対して、「事後重症」で請求した場合は、請求したときが認定日となり、そこから将来に向かってのみ受給できます。遡って受給することはできません。
また、老齢年金の繰上げ請求後や、65歳の誕生日の前々日を過ぎると、この制度による請求ができませんので注意が必要です。
「1年6ヶ月時」請求が有利
障害年金は、それぞれの種類によって受給額が異なります。
等級 | 受給額 |
---|---|
1級 | 974,125円+※1 子の加算額 |
2級 | 779,300円+※1 の加算額 |
※1 子の加算額
子供の人数 | 子の加算額 |
---|---|
1人目・2人目の子 | (1人につき) 224,300円 |
3人目以降の子 | (1人につき) 74,800円 |
※子とは次の者に限ります。
○18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
○20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある子
等級 | 受給額 |
---|---|
1級 | 報酬比例の年金額×1.25+※2 配偶者の加算額+障害基礎年金1級 |
2級 | 報酬比例の年金額+※2 配偶者の加算額+障害基礎年金2級 |
3級 | 報酬比例の年金額(最低保障額 584,500円) |
障害手当金 (一時金) |
報酬比例の年金額×2年分(最低保障額 1,169,000円) |
※2 配偶者の加算額
配偶者の加算額 | |
---|---|
配偶者の加算額 | 224,300円 |
障害年金の受給は単に障害があることを証明するだけで認められるものではなく、様々な手続きが必要になってきます。
障害年金を受給するためには障害認定を得ることが必要であり、その認定を得るために必要となるものが「診断書」です。
この診断書の記入の方法は障害認定にかかわってくる場合があるので、担当医とよく話し合い、最善の記入をしてもらわなければなりません。
この時点でよく問題になるのが、初診日が特定できない場合や、初診日がかなり過去である場合です。 この場合は、手続きにかなり手間取ってしまいますので、専門家にご相談することがオススメです。
当事務所では、診断書のチェックだけではなく、医師にお願いする際の注意点のアドバイスなども行っております。お気軽にご相談下さい。
書類に記載しなければならない内容が煩雑であったり、診断書を書いてもらうためのお医者様のやり取りが難しかったり、申立書の書き方一つで障害の等級が変わったり、支給してもらえなかったりすることも多くあります。
ご自身で手続きをされる場合、進め方のコツを知らないと、認定の部分で低い評価となることがあります。
高額なお金をもらうにはそれ相応の対応が求められるのです。
例えば、
2級の3年遡及の場合、約78万円×3年=約234万円
1級の5年遡及の場合は、約99万円×5年=約495万円にまで上ります。
このように高額な保障を受けることの出来る制度なのです。
正確に言えば、何度か再申請という形で申し込みができるのですが、可能性は非常に低いのです。一度下された判定というのは覆すのが難しいのが現状です。
つまり、最初の1回目でどれだけ最高の状態で提出できるかが肝心なのです。
申請作業に時間をかけたからといってもらえるとは限りません。
万が一もらえたとしても、もらえるお金が少なくなったり、申請作業に費やしてしまった時間分のお金をもらい損ねてしまったりします。